立原道造草稿詩篇 クリスマスのおぢいさん
[やぶちゃん注:底本は初回を見られたい。本篇はここ、底本の注記はここから視認出来る。そこには、『『散步詩集』中の「村の詩・晝」の初稿。二稿はノート用方眼紙に「晝」と題して飾り字風にペンで本文を筆記してゐる。』として、全文が載り、最後に『(『散步詩集』直前の制作と想定)』とあった。これは、調べてみると、底本の全集の本文としては、正式に載らず、こうした注記内で示していることが、他で(本底本の前の、ここの左丁の上段の「村の詩 朝・晝・夕」の注記)も確認出来た。そこで、これを【二稿】として、再現しておいた。決定稿である『散步詩集』中の「村の詩・晝」は、私の「散步詩集 (全) 立原道造」から、当該部分を含む三連から成る「村の話 朝・晝・夕」の全部を抜粋して最後に置いた。また、注記には、最後に『二稿の第三、四行は物語「夏の死」中に採用している。』とあった。私は、道造の創作物語・小説を電子化していないので、底本の同全集の「第三卷 物語」の「夏の死」の当該箇所(ここ。右丁の後ろから七・八行目)をリンクするに留める。]
【初稿】
(クリスマスのおぢいさん⋯⋯)
クリスマスのおぢいさん
この村の郵便配達
ポオルは咳をしてゐます
ヸルジニイは花を摘んでます
【二稿】
晝
この村の郵便配達
ポオルは咳をしてゐる
ヸルジニイは花を摘んでます。きつと大きな花束に出來るでせう
この景色を小さな箱に入れませう
【決定稿『散步詩集』中の「村の詩 朝・晝・夕」部分】
村の話 朝・晝・夕
村の入口で太陽は目ざまし時計
百姓たちは顏を洗ひに出かける
泉はとくべつ上きげん
よい天氣がつづきます
郵便配達がやつて來る
ポオルは咳をしてゐる
ヸルジニイは花を摘んでます
きつと大きな花束になるでせう
この景色は僕の手箱にしまひませう
虹を見てゐる娘たちよ
もう洗濯はすみました
眞白い雲はおとなしく
船よりもゆつくりと
村の水たまりにさよならをする

