立原道造草稿詩篇 (とほい外國の⋯⋯)
[やぶちゃん注:底本は初回を見られたい。本篇はここ、底本の注記はここから視認出来る。そこに記された編者の独立詩篇とした推定を、良し、とした。但し、前の「(かなしみは⋯⋯)」の詩篇との饐えた臭いの通性から、詩篇的イメージに強い関連性を嗅ぎとるものでは、ある。]
(とほい外國の⋯⋯)
とほい外國の樂屋町をさまよひ步いて、或る日僕は不思議な香料や屍の腐る藥のにほひを嗅ぎまはつた。
僕の靴はすりきれて底がやぶれた。行きつくとぼうぼうとした海があつた。僕は口笛を吹きながら身を投げた。一しよにだらしない形の形の綠色の魚が沈んだ。

