立原道造草稿詩篇 冬
[やぶちゃん注:底本は初回を見られたい。本篇はここ、底本の注記はここから視認出来る。]
冬
僕のマントは肩がすこしやぶけてゐる
步いてゐると 太陽が
そこへとまつて 蝶のやうに
身體のなかを覗きこむ
★
穴のあいた靴は重い かなしみのやうに
僕は步きながらそれを見るのがきらひですだからいつも 梢の先の雲や小鳥を眺めては 僕はひとりで散步する
★
疲れて歸つた部屋に ランプのかげで
レモンがしぼんでゐた
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僕のシヤツは日なたの町の風のにほひを持つてゐる 胡桃色の今日の風の
[やぶちゃん注:第二聯の二行目の「僕は步きながらそれを見るのがきらひですだからいつも」の「きらひです」の後に一字空けがないはママである。]

