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2026/02/28

立原道造草稿詩篇 鉛筆のマドリガル

[やぶちゃん注:底本は初回を見られたい。本篇はここから、底本の注記はここから視認出来る。そこに示された言い方を、やや厳密に言い換えると、既に先行して電子化した「(僕の口ぐせによると……)」の第一聯の部分、

   *

僕の口ぐせによると

僕はいつでも困つてゐた

そんな筈はないんだが

   *

が、本詩の第二聯の冒頭に、そのまま使用されており、さらに、第四聯は、やはり先行する「(昨夜は おそく……)」の、最初のソリッドな四つの聯、

   *

昨夜は おそく

步いて町を步いて歸つたが

あかりは僕のそばにゐた

あかりは僕からとほかつた

 

ひとつの窓はとぢられて

あまりおそいこの時刻には

誰も顏を出してゐなかつた

誰にも歌をうたはせないために

 

だけれど僕はすこしうたつてみた

それはたいへんまずかつた

僕はあはてて歸つて行つた

 

昨夜は おそく步いたが

あれはたしかにわるかつた

僕の脊中はだいぶくらかつた

   *

が初稿である(「まずい」はママ)。以上のように、先行する詩の一部を改稿して援用しているため、今までもように【初稿】として示すことが出来ないので、前注で示しておいた。

 なお、標題の中の「マドリガル」は先行する秋のマドリガルで既注。]

 

  鉛筆のマドリガル

 

夕方くらくて町で人かげを見た 僕はまちがへた

長いこと お前がこゝで待つてゐたと ほんとだらうか。

 

    ☆

 

僕の口ぐせによると

僕はいつでも困つてゐた

そんな筈はないんだが

(からつぽの帽子を机にのせて

僕はしばらくぼんやりする)

窓はすばらしい天氣だつたが

もし僕がそこへ出て行くなら

あの靑空はきれいすぎるだらう

(出かける仕度をしたつきり

机の上に頰杖をついてゐる)

どうしていつもかうなんだらう

 

    ☆

 

幾日も會はないまゝに 或る日は思ひ 思はぬまゝに

僕は裏切つた 僕を お前を それから僕を

どうしたらよいか知らないくせに ぢつとしてゐた

ずるかつた――お前は待つてゐた きつと

 

    ☆

 

昨夜は おそく

步いて 町を歸つたが

ひとつの窓はとぢられて

誰も顏を出してゐなかつた

僕に歌をうたはせないために

だけれど僕はすこしうたつてみた

それはたいへんまづかつた

僕はあはてて歸つて行つた

昨夜はおそく 步いたが

あれはたしかにわるかつた

あかりは僕からとほかつた

僕の脊中はくらかつた

 

    ☆

 

ねむがりの僕が或る晩おそく散步に出かけたら

それきりなのさ 僕は橋の上でぼんやり水を見てゐた

それから水の上に長いかげを搖らしてあかりがゐた――それつきりなのさ

 

[やぶちゃん注:「幾日も會はないまゝに 或る日は思ひ 思はぬまゝに」「幾日も會はないまゝに 或る日は思ひ 或る日は思はぬまゝに」の省略表現。

「それから水の上に長いかげを搖らしてあかりがゐた」「ゐた」は擬人法。]

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