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2026/03/17

立原道造草稿詩篇 (林のなかに⋯⋯)

[やぶちゃん注:底本は初回を見られたい。本篇はここから、底本の注記はここで視認出来る。]

 

  (林のなかに⋯⋯)

 

林のなかにぎぼうしゆが眞白い花を咲いたとか

冬のさなかに きたけれども

夢みる心に疲れてゐたのか その鼻さへも目には浮ばず

なにかこせこせ悲しい顏つきの白茶けたあの鼠ばかりが

壁をやぶいて すきとほつた眼でぢつと見てゐた

こんな僕ではなかつたとぢつと考へてみるけれども

ああ その花さへも目には浮ばず

 

 

[やぶちゃん注:昭和十年、及び、それ以前でも冬に軽井沢に行った形跡は年譜上は、ないので、不審。

「ぎぼうしゆ」単子葉植物綱キジカクシ(雉隠)目キジカクシ科リュウゼツラン(竜舌蘭)亜科ギボウシ(擬宝珠)属 Hosta の複数の種を指すが、恐らくは、オオバギボウシ変種オオバギボウシ Hosta sieboldiana var. sieboldiana であろう。山岳部の顧問をしていた頃は、よく見た。詳しくは当該ウィキを見られたい。しかし、開花は夏で、冬に咲くのは、トンデモない狂い咲きである。

「なにかこせこせ悲しい顏つきの白茶けたあの鼠ばかりが」「壁をやぶいて すきとほつた眼でぢつと見てゐた」これは、家鼠の内の、哺乳綱ネズミ目ネズミ上科ネズミ科ハツカネズミ属ハツカネズミ Mus musculus である。]

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