立原道造草稿詩篇 旅裝
[やぶちゃん注:底本・凡例その他は、本パートの初回のこちらを見られたい。本篇はここから、底本の注記はここで視認出来る。それに拠れば、『草稿消失・角川書店版第五巻』とある。これは同全集の古い全集版の「第五卷 優しき歌」(一九五九年刊)のここを元にしたことを指す。而して、『題名、主題により「旅裝」(昭和10年4月発表)の別稿と想定する。』とあったが、正確には、これは、一九七一年版「第五卷」の編者注のここ(右丁上段ほぼ中央)によって『「四季」第7号 昭和10年5月号(4月20日刊)』であった。その発表決定版は、既に、2016年6月7日にここで電子化注してある。
そうして、実は、私は既に、2015年10月10日にブログで昭和四三(一九六八)年新潮社刊「日本詩人全集」第二十八巻の「立原道造」(中村真一郎編)に載る本草稿を、ここで、草稿とは知らずに、恣意的に正字化して公開しているのである。しかし、そちらを削除するのは、情報が少ない中、一所懸命に道造の詩を電子化した頃の思い出の一つであるから、特異的に、削除は、しないこととした。そちらでは、中村氏の附加ルビを生かしておいた。]
旅裝
小さな旅と知りながら
心のこる部屋
インクや本や時計よ
時計は一時でとまつてゐる
皿やナイフや花甁よ
花はあした涸れるだらう
さうして僕は汽車にのるだらう
田舍の道に人は見るだらう
ひとりの僕がかなしげに眼をつむるのを
思ひ出よ 僕の夢よ
僕はすべてを忘れるだらう そのとき
僕は思ふだらう もうみんななくしたと
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