立原道造草稿詩篇 たそがれ
[やぶちゃん注:底本は初回を見られたい。本篇はここから、底本の注記はここで視認出来る。それに拠れば、この「たそがれ」から「ゆくての道」の三篇が載るものは、『大体の用紙寸法は縦二六×横一八・五センチ。絵入り手製詩集らしく、桃色、水色、灰色の水彩絵具で囲みの子持ち罫、表題、ノンブル、插画、本文を筆記したもので、無綴三葉。扉や目次などを欠いているので完成本かどうかも未詳である。拠って草稿と見做し、次項の文語詩群の頭に置いた。昭和9年夏から冬にかけて、室生犀星の『故鄕圖繪集』『抒情小曲集』や萩原朔太郎の『氷島』などの文語詩集を愛読しており、また文語調の文章も杉浦明平宛の書簡に見られ、9月1日付で「文語のリズムは口語の貧困をかなしませます」と語っているが、これら文語詩の制作かそれに対する試作と思われる。制作時は9年冬頃と想定する。排列は原記ノンブル(時計文字)の順序に拠る。』とある。この「時計文字」とは、ローマ数字を指していよう。但し、時計では「IV」ではなく、「IIII」とするものが殆んどである。]
たそがれ
換気筒も、雲も、齒車も
あはれ、みんな廻るなり。
煙のやうな、街のたそがれ。
[やぶちゃん注:「廻」の字体が「𢌞」ではないのはママ。注記に、『囲み罫は桃色、表題およびノンブルは水色、本文は灰色書き。』とある。]

