[やぶちゃん注:底本は初回を見られたい。本篇はここから、底本の注記はここで視認出来る。それに拠れば、『昭和10年1月8日付・杉浦明平宛書簡中に「書くといふことは何であつたか。」という自省の言葉がある。』とあった。ここである。]
(書くことは⋯⋯)
書くことは何があつたか
宵 私はあかりを消して目をとぢる
過ぎて行くいくつかの言葉のはてに
私は音もなく身を橫へる かすかな息をかぞへながら
書くことは何があつたか
かうして私はたづねて見る
答もなく 夢もなく
眠りが部屋を訪ねる
すると私はもう一度 吐息のやうにして尋ねてみる
[やぶちゃん注:「橫へる」「よこたへる」。]
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