[やぶちゃん注:底本は初回を見られたい。本篇はここから、底本の注記はここで視認出来る。]
旅
海は燕の歌をきいた――
日がはじまり 碑がをはり かうして
越えてゐる私の羽根には力があるのだ
私は疲れた阿呆鳥とはちがふのだらう
私はいさましく越えて行く 私は信じてゐると⋯⋯
この小さな生物は海にいつかはその身を投げはしないか
海は絕えずうたつてゐた 呟きだつた
或る日 それは夏だつた
燕はたうとう海を越えきつた 海は忘れてゐた
白い波頭でその行方を見送りながら 繰返した
これはあまりに小さく 私はあまりに大きいと――
明るくはてしない晝であつた 似た雲があつた
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