立原道造草稿詩篇 (昨日と今日とがいりまじる⋯⋯)
[やぶちゃん注:底本・凡例その他は、本パートの初回のこちらを見られたい。本篇はここから、底本の注記はここで視認出来る。そこには、『草稿無題。前掲「夜の歌」と同一紙に未定初稿を持つ。』とある。この『前掲「夜の歌」』というのは、先行する「立原道造草稿詩篇 僕は おまへに (添え題:「夜の歌」)」、及び、「立原道造草稿詩篇 それが どういふことか (添え題:「夜の歌」)」を指す。されば、その二篇と同時期の制作と想定し得るということであろう。しかし、その『未定初稿』なるものは、記されていない。全く同文なのか? どうも、この「後期草稿詩篇」(こちらの方が「前期草稿詩篇」より先に編集されている)の方は、注記に漏れと言うか、不親切な箇所が目立つ。
この草稿は、以前に電子化したが、私の注もしていないので、削除し、仕切り直しとした。]
(昨日と今日とがいりまじる⋯⋯)
昨日と今日とがいりまじる
僕のなかの 深い淵に
萎えた僕のにくしみよ
身を投げるがいい 消えるがいい
おまへが眠れようが 眠れまいが
僕の知つたことではないのだ
この あはれな 恥も知らない魂よ
出て行くがいい くらい夜のなかへ
外に 秋は まだつづいてゐる
靑白くつめたい光が
虫たちをうたはせてゐる
だれが ここに 耐へてゐて
明日を待ちわびてゐる?
聞くすべもない 大きな 夜の歌
[やぶちゃん注:第三聯の「虫」はママ。芥川龍之介を始めとして「蟲」の字体を生理的嫌悪感を持つ作家や詩人は有意にいるが、道造は「蟲」も他の詩篇では、普通に使用しているから、そうした傾向はなかったようだ。ちょっと意外な気がした。]
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