立原道造草稿詩篇 僕は おまへに (添え題:「夜の歌」)
[やぶちゃん注:底本・凡例その他は、本パートの初回のこちらを見られたい。本篇はここから、底本の注記はここで視認出来る。そこには、『*第一聯第二行の下に他の例なく』、『三、四字分をあけて〈くりかえし〉とあるが、関連不明なので本文には採らない。』とし、次の項に『*第一聯三行目の( )内の詩句は、上の詩句との入替えともよめるが、原文通りとした。』とある。なお、この篇の注記には書かれていないが、実際には、この篇は無題である。しかし次の「立原道造草稿詩篇 それが どういふことか (添え題:「夜の歌」)」の注記で、実際には無題であることが判明した。しかし、そちらの冒頭注を見られたいが、後者ともに特異的に無題扱いをせずに、かく、表題を変えた。そちらを、必ず、見られたい。
この草稿は、以前に電子化したが、私の注もしていないので、削除し、仕切り直しとした。]
僕は おまへに
夜の歌
僕は おまへに
何も ねがはなければ
何も 强ひはしない(――おまへはふたたびかへらないだらう)
そして 拒むことなく おまへを
去らせる 夜のなかへ なほとほく
つめたい雨が降つてゐるのを
僕は おまへに をしへよう
おまへが そこで そのやうに
ためらつてゐるのは 何であるかを
僕は とうに 知つてゐるのだ
おまへの大きな聲が
犬たちの吠えるのを叱りながら
きこえなくなるときに
やうやく 僕は ひとりになつて
僕の內の言葉に耳をすます
[やぶちゃん注:注記が気になる。編者堀內氏の推理に基づいた可能性の状態の全篇を、以下に示しておく。
*
僕は おまへに
夜の歌
僕は おまへに
何も ねがはなければ 何も ねがはなければ
――おまへはふたたびかへらないだらう
そして 拒むことなく おまへを
去らせる 夜のなかへ なほとほく
つめたい雨が降つてゐるのを
僕は おまへに をしへよう
おまへが そこで そのやうに
ためらつてゐるのは 何であるかを
僕は とうに 知つてゐるのだ
おまへの大きな聲が
犬たちの吠えるのを叱りながら
きこえなくなるときに
やうやく 僕は ひとりになつて
僕の內の言葉に耳をすます
*]
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