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2026/04/24

阿部正信編揖「駿國雜志」(内/怪奇談)正規表現版・オリジナル注附 「卷之二十四下」「阿彌陀佛遁火災」

[やぶちゃん注:底本はここから。句読点を附加・変更した。]

 

 「阿彌陀佛遁火災《あみだぶつ くわさいを のがる》」 志駄郡《しだのこほり》東光寺村、池澤山東光寺杉本院《いけさはさんとうくわうじすぎもとゐん》【天臺、東叡山末、寺領十五石。】にあり。寺傳云《いはく》、

「永祿年中、武田信玄の爲に、伽藍、悉《ことごと》く、囘祿《くわいろく》す。時に、阿彌陀佛【聖德太子御作《おんさく》、】、火中《くわちゆう》を飛出《ちびいで》、後《うしろ》の一松樹《いつまつじゆ》の枝上《えだうへ》に止《とま》り、兵火を免《まぬか》る。其後《そののち》、當寺、中絕す。元祿年中、尊周法印、再建、諸堂、成就す。或《ある》時、盜賊、此像を奪ひ、負《おひ》て、江尻の際《きは》、姥《うば》が池《いけ》の邊《へん》に至る。時に、佛像、俄《にはか》に盤石《ばんじやく》の如く、其重き事、堪《たふ》べからず。故《ゆゑ》に、池中《ちちゆう》に捨去《すてさ》る。茲《ここ》に、當山寺領の民《たみ》、淸大夫《せいだいふ》と云《いふ》者、靈夢の告《つげ》を得て、法印に語り、急ぎ、姥が池に至り見るに、彼《かの》像、水中より出現す。卽《すなはち》、負《おひ》て、寺に皈《かへ》る。云云。」。

 

[やぶちゃん注:「志駄郡東光寺村、池澤山東光寺杉本院【天臺、東叡山末、寺領十五石。】」現在の静岡県島田市東光寺のここ(グーグル・マップ・データ)に現存する。天長七(八三〇)年に慈覚大師円仁が開いた、千手観音を本尊とする天台宗寺院。

「永祿年中、武田信玄の爲に、伽藍、悉《ことごと》く、囘祿《くわいろく》す」これは、前の鬼岩寺の話の背景と同じく、所謂、信玄の駿河侵攻で、永禄一一(一五六八)年から元亀二(一五七一)年)まで発生した、甲斐国の戦国大名武田信玄による駿河国今川領や後北条氏領への軍事侵攻を指す。

「江尻の際、姥が池」先行する「臼祖母巖」で既出既注。ここだが、にしても、東光寺からは、直線でも三十キロメートルを越える。]

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