立原道造下書き草稿篇 やがて秋⋯⋯
[やぶちゃん注: 底本・凡例等は「草稿詩篇」の起動の初回、及び、「下書き草稿篇」の初回を見られたい。本篇はここから、底本の注記はここから視認出来る。それに拠れば、この下書きを元にした(但し、以下の「優しき歌」群は膨大な作品であり、決定稿が出来るまでの草稿は、複数あり、最早失われた別の下書きや草稿がなかったとは断言出来ない。寧ろ、あったと考える方が自然である)決定『定稿は、「四季」昭和12年10月号(9月20日刊)に発表、更に詩集『曉と夕の詩』』(『風信子叢書(ヒアシンスそうしょ)』第二篇)『の第二詩として採用している(第一巻所収)。』とある(後者はここ)。そして『制作時は、定稿が入稿時および詩集の計画メモ「風信子叢書覺書」との係わりに拠り』、『12年6月――8月制作とそうていされることに準ずる。即ち』、『定稿と比較してさほど遡ることはないであろう(第一巻編註P389、307参照)。』とある。最後の参照先は前者がここ、後者がここである(ポイントを附けてある)。なお、底本の表題下には『(初稿)』とあるのは、編者堀內氏の附したものと判断出来るので、カットした。
なお、このパートの決定稿に就いては、古くに「やがて秋⋯⋯ 立原道造」として電子化注していた。しかし、底本に杜撰なものを選んでいたため、今日、事前に、底本を変え、表記も再確認して修正しておいたので、見られたい。「推敲の鬼」立原道造の産みの苦しみを伝える一篇である。]
やがて秋⋯⋯
やがて 秋が 來るだらう
夕ぐれが親しげに僕らにはなしかけ
樹木が老いた人たちの身ぶりのやうに
あらはなかげを くらく夜の方に投げ⋯⋯
すべてが不確かにゆらいでゐる
かへつてしづかなあさい吐息にやうに⋯⋯
昨日でないばかりに 僕らは
明日に持つたであらう そのやうな日々を
――秋が かうして かへつて來た と
さうして 秋が また たたずむと
ゆるしを乞ふ人のやうに⋯⋯
やがて秋が來るだらう
忘れなかつたことのかたみに
しかし かたみなく 過ぎて行くであらう
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