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2026/05/04

立原道造「詩集 優しき歌」再起動版 詩集 優しき歌 Ⅰ  薊の花のすきな子に Ⅴ 民謠

[やぶちゃん注:この再起動版に就いては、初回の冒頭注(詳細なプロジェクトの経緯及びオリジナルな特徴を述べているため、かなり長い)を見られたい。過去にランダムに電子化注したものは、民謠   立原道造である。これは、昭和六一(一九八六)年改版三十版角川文庫刊中村真一郎編「立原道造詩集」の画像を用いたものであるが、必要があって、本底本で修正してしまってある。

 今回の底本は、国立国会図書館デジタルコレクションの「立原道造全集 第一卷 詩集I」(一九七一年角川書店刊)を用いる。総標題ページはここで『優しき歌 I 風信子叢書 第四篇』(下方の二つの附属表記は底本ではポイント落ち。「風信子」は「ヒアシンス」と読む)とあり、本篇はここで、編註はここである。それに拠れば、『「帝國大學新聞」 昭和101014日号』とあり、さらに、『*初出は殆んどルビ付であるが、本編は山本書店版第一巻のルビのみを採用した』とあるから、原稿は残っていないものと思われる。その旧全集の当該部はここである。また、『草稿詩『夏の旅』(本巻収)の副題「エリザの記念に」』とある。その草稿詩篇は、先般、「立原道造草稿詩篇 夏の旅」として電子化してある。]

 

  Ⅴ 民謠

     ――エリザのために

 

絃(いと)は張られてゐるが もう

誰もがそれから調べを引き出さない

指を觸れると 老いたかなしみが

しづかに歸つて來た⋯⋯小さな歌の器(うつは)

 

或る日 甘い歌がやどつたその思ひ出に

人はときをりこれを手にとりあげる

弓が誘ふかろい響――それは奏でた

(おお ながいとほいながれるとき)

 

――昔むかし野ばらが咲いてゐた

野鳩が啼いてゐた⋯⋯あの頃⋯⋯

さうしてその歌が人の心にやすむと

 

時あつて やさしい調べが眼をさます

指を組みあはす 古びた唄のなかに

――水車よ 小川よ おまへは美しかつた

 

 

[やぶちゃん注:添え題中の「エリザ」については、旧版「民謠」の私の注で、『「エリザ」』『中村氏の注によれば、これは「SONATINE No.1」冒頭の「はじめてのものに」の「エリーザベト」で中村氏が注している『ドイツの作家』『シュトルム』『の小説「みずうみ」の女主人公の名、めぐりあった少女をなぞらえたもの』の『エリザベートか?』と注する。』としてある。]

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