河原田盛美著「淸國輸出日本水產圖說」正規表現版・オリジナル電子化注 中卷(七)乾鰕の說(その8) 図版2
[やぶちゃん注:底本・凡例その他は、第一始動の記事、及び、「(一)鰑の說(その2)」の前注の太字部分を参照されたい。今回はここの右ページから。この図版類は、特に思いがあって、清拭に渾身の努力をかけた。それに就いては、「その7」の図版初回の冒頭注を、必ず見られたい。]
【図版2】
■「大形すりえび」
「肥后国《ひごのくに》玉名郡《たまなのこほり》
長須村《ながすむら》産。」
「十八年十月、河原田盛美、求《もとめ》乄《して》、
携帶シ、来《きた》るもの。車𫙨《くるまえび》の
煮乾(にぼし)にして、皮を剥きさるもの。」
「全形」
「此大形
すりゑびハ、
豊后《ぶんご》ノ国にて、
産し、明治十四年
より、初めて、清国に
輸出せり。十八年十月
中《ちゆう》ノ長﨑の相庭《さうば》、百斤
二拾四、五円なり。」
[やぶちゃん注:「携」の字は「グリフウィキ」の「携」の異体字のこれだが、表示出来ないので、かく、した。「𫙨」の字は「グリフウィキ」の「鰕」の異体字のこれだが、同前で、最も近い「𫙨」の字とした。「剥き」はママ。濁点落ち。
「肥后国玉名郡長須村」前回でもこの表記で出たが、現在の熊本県玉名郡長洲町(ながすまち:グーグル・マップ・データ)の誤り。
「十八年」明治一八(一八八五)年。本書の刊行は明治一九(一八八六)年。
「車𫙨」根鰓(クルマエビ)亜目クルマエビ上科クルマエビ科クルマエビ属クルマエビ Marsupenaeus japonicus 。
「相庭」「相場」と同じ。江戸から近代まで、当て字・慣用表現としてよく見かける。]
■「乾車蝦皮付《ほしくるまえびかはつき》」 「全形」
「筑前国《ちくぜんのくに》
山門郡《やまとのこほり》の産。」
「明治十八年十月、買求《かひもと》め
たるものなり。」
[やぶちゃん注:「蝦」は前の「グリフウィキ」の「鰕」の異体字のこれの「魚」を「虫」に代えたものだが、表示出来ないので、かく、した。
種は前と同じくクルマエビ Marsupenaeus japonicus である。
「筑前国山門郡」これは「筑後国山門郡」の痛い誤りである。現在の福岡県南部地域で、有明海の湾奥の北東部分に当たる旧郡で、現在の柳川市の大部分と、みやま市の大部分に相当する。旧郡域は当該ウィキを見られたい。
この二つの図は、今までの本書の図版では見られない、筆者河原田氏が入手した「標本」である点で特異点である。但し、孰れも、国名・地名を誤っていることから、現地での入手であろうけれども(特に前の「大形すりゑび」は、キャプションから、現地入手であると考えられる)、図・キャプションを描いた担当者が地理に不案内であったと考えられ、河原田氏もちゃんと図版の校正はしていないものと思われる。]
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