阿部正信編揖「駿國雜志」(内/怪奇談)正規表現版・オリジナル注附 「卷之二十四下」「靑池雩」
[やぶちゃん注:底本はここ。句読点・記号を附加・変更し、段落を成形した。「雩」は音「ウ」で、第一義は「雨乞(あまごい)の祭り。夏季の日照りの時に雨が降るように祈る祭祀。」の意。第二義に「雨乞いの祭りをする。」。第三義に「虹」の意があるが、これは第一・二義と親和性が強い。]
「靑池雩《あをいけ あまごひ》」 益頭郡《ましづのこほり》郡村《こほりむら》にあり。傳云《つたへいふ》、
「當村に『靑池(あをいけ)』と云《いふ》池あり。辨才天を安置す。池の主を「なめだらうし」と唱《とな》ふ。
此ぬし、吠《ほゆ》る時は、近き內《うち》に、極めて、雨、降る。
其聲、近き所より、返《かへり》て、遠き所に響《ひびき》けり。
又、旱魃《かんばつ》の年、農夫、藁にて大牛《おほうし》を造り、鉦《あね》・太鼓を鳴らし、踊りて、此うしを、水穴《みづあな》に打入《うちい》れば、必《かならず》、三日の內《うち》に、雨、降る。云云《うんぬん》。」。
又、云《いふ》、
「此池、いか成《なる》旱魃にも、水、減る事、なし。
池底《いけぞこ》に、水穴、七《ななつ》ありて、淸水を、吹き出す。
領主の獵場たる故《ゆゑ》に、常《つね》は、殺生《せつしやう》を禁ぜり。
凡《およそ》、田中領《たなかりやう》の用水、此靑池より、出《いづ》。其川筋を『六間川《ろくけんがは》』と云《いふ》。此池、遠州佐倉《さくら》の池に續くにや。
徃昔《わうじやく》、六月、佐倉、池祭《いけまつり》の日、池中《いけなか》に納《をさめ》たりし赤飯櫃《あかめしびつ》の、浮《うか》み出《いで》たる事、あり。云云《いんぬん》。」。
水脈成《なる》べし。
[やぶちゃん注:「益頭郡郡村」藤枝市郡(こおり)。現行では、二箇所に分かれて、田中城跡北部と、城跡から西に離れた部分に認められる。ここである(グーグル・マップ)。さて、その後者の南西、交差点を挟んだ、南直近に池があるのが判る(グーグル・マップ航空写真)。而して、現行では、藤枝市緑町一丁目内にある「青池公園」なのだが、
ここを「ひなたGIS」の戦前の地図で見てみると――
★「郡」(こほり)の位置が「郡」と「稻川」と「益津下」という地名の境(さかい)のような位置にあり、さらに、明らかにこの全体を示す「益津村」の広域の内である
ことが判るのである。
さらに、「静岡県」公式サイト内の「中部地域施設概要:青池」には、『青池は、静岡県藤枝警察署の東、国道1号線の南に位置する農業用水を貯留しておくためのため池で、江戸時代以前に築造されたと伝えられ、地元で、民話「青池の大蛇」も伝えられる施設です』。『地元関係者によりますと、この池には昭和20年代までは豊富な湧き水がありましたが、国道1号線の整備とともに池の約3分の1程度が埋めたてられ、その頃から湧水量が減少しているとのことでした。この池は現在も農業用のため池として管理されていますが、池を含む隣接地一帯は、平成12年に青池公園として整備されています。』とあった。まず、この池で、ロケーションは決まりである。
「六間川」グーグル・マップのここで、青池公園の北東の流れが、それであることが判る。
「遠州佐倉の池」静岡県御前崎市佐倉にある「桜ヶ池」(グーグル・マップ)。直線でも二十八キロメートル超えで、あり得ません!]
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