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2026/06/03

阿部正信編揖「駿國雜志」(内/怪奇談)正規表現版・オリジナル注附 「卷之二十四下」「蛇崩」

[やぶちゃん注:底本はここから。句読点・記号を附加・変更し、段落を成形した。]

 

 「蛇崩《じやくづれ》」 止駄郡[やぶちゃん注:何度か前に出ているが、「志駄郡」(志太郡の古い別表記)の誤記。今後、出てもこの割注はしない。]大堰川《おほゐがは》[やぶちゃん注:富士川水系に「大堰川」(おおぜきがわ)があるが、ここは旧志太郡ではなく、後で「大井河」と出るので、これは、「大井川」の別表記である。]にあり。「東武談叢」云《いはく》、

『天正六年八月十九日、神祖[やぶちゃん注:家康。]、府中淺間社《せんげんしや》をはじめ、由井・倉澤・蒲原《かんばら》迄、燒かしめ玉ひ、御勢《ぎよせい》を返し、田中城邊《へん》の稻を刈《かり》とり、同二十五日、御歸陣也。

 大須賀《おほすが》五郞左衞門康高、榊原《さかきばら》小平太康政、殿《しんがり》す。

 跡勢《あとぜい》、馬筏《うまいかだ》を組《くみ》て、大井河《おほゐがは》を渡す。

 此頃、二、三日、雨、降《ふり》、水勢、漲《みなぎ》り、夜《よる》に入《いり》て、河岸《かはぎし》、崩落《くづれおち》、水中に入《いる》。其《その》音、雷《かみなり》の如くにして、夥《おびただ》し。諸軍、

「敵《てき》の害するか。」

と疑ふ。云云。」。

 里俗、是を、「蛇崩」と號《なづけ》て、往々、あり。

 

[やぶちゃん注:私は、戦国時代に興味がないため、知識が乏しいので、最小限に留める。

「東武談叢」「国立公文書館」公式サイト内の「徳川家康 将軍家蔵書からみるその生涯」の「三方原の戦い」の「東武談叢(とうぶだんそう)」に拠れば、『全』五十『冊。昌平坂学問所旧蔵。』とあるのみである。

「天正六年八月十九日」グレゴリオ暦一五七八年九月三〇日。

「府中淺間社」現在の「駿河國総社 静岡浅間神社」(グーグル・マップ。以下、無記名は同じ)。

「由井」現在の静岡市清水区由比(ゆい)附近。

「倉澤」現在の菊川市倉沢(くらさわ)。

「蒲原」現在の静岡市清水区蒲原(かんばら)。

「田中城」現在の藤枝市田中の田中城跡

「同二十五日」グレゴリオ暦一五七八年十月六日。

「大須賀五郞左衞門康高」当該ウィキを見よ。

「榊原小平太康政」当該ウィキを見よ。

「馬筏」流れの急な大河を騎馬で渡る際に、数頭の乗馬を並べ繋いで、筏のようにすること。また、その隊形を指す。

「蛇崩」川岸や崖などの斜面の土砂が緩んで崩れること。また、その崩れた場所を指す。参考にした小学館「日本国語大辞典」では、「甲陽軍鑑」を例示しているから、まさに江戸最初期に定着した語である。]

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