河原田盛美著「淸國輸出日本水產圖說」正規表現版・オリジナル電子化注 中卷(八)乾貝並貝柱の說(その18) 図版1
[やぶちゃん注:底本・凡例その他は、第一始動の記事、及び、「(一)鰑の說(その2)」の前注の太字部分を参照されたい。今回はここの左ページ。
上下左右の罫線は邪魔なだけなので、基本は、カットとする(但し、罫線外に標題がある場合、罫線外に図がはみ出る場合は残す)。清拭には、今まで通り、細心の注意を払った。縱方向(時に横方向)の白いスレが各所に見られるため、自然な感じになるように、黒でランダムに塗っておいた。流石に慣れてきた。当初は、一枚に十五分以上かかっていたが、この一枚は八分以下で、やり終えられた。
図の順番は、基本、右から左、次いで、上から下とした。]
【図版1】
■「はまくり
かい」
[やぶちゃん注:これは、恐らく、成貝の生貝(左右貝殻附き)のスケッチであろう。かなり大きな個体と推定出来る。貝の上部(図では下)の蝶番(ちょうつがい)の左右のラインから、図の右が後ろで、左が、水管を出す前部である。而して、殻の表面は、これでは、判明不能であるが、やはり蝶番のラインの角度から、容易に
斧足(二枚貝)綱異歯亜綱マルスダレガイ科ハマグリ亜科ハマグリ属ハマグリ Meretrix lusoria
と断定出来る。以下の五図の乾し身群も、総て、同種と推理してよいと思われるが、剥き身では、チョウセンハマグリ Meretrix lamarckii ・ミスハマグリ Meretrix lyrate でないとは、断言は出来ないものの、本書で掲げる図である以上、まんず、正統なMeretrix lusoria と考えるべきである。解説ページは「(その6) 蛤」である。]
■「くしはまくり」
「小《しやう》ノ方《はう》」
「自然形《しぜんけい》」
[やぶちゃん注:櫛の結節の形状から十数センチメートルの丸い櫛を二十本以上円筒状に組んだものに、比較的小さな個体の剥き身をボイル(清浄海域の新鮮な個体ならば、しないが、中距離以上の流通系や、本書のような清国向けでは、言うまでもなく、衛生上、必須である。現行では、サキシトキシン(最悪で死に至ることもある)・ノロウイルス・腸炎ビブリオなどの食中毒リスクが高いので、生食・非加熱はアウトである。)して乾燥処理したもの六個体を結束したもの。恐らく、一つ一つ、針で、糸を刺し抜いて、櫛に結んで固定したものと思われる。「自然形」というのは、剥き身自体には、それ以外の本来の形状その他を変化させる見た目の処理操作は、していないことを言っている。]
■「くしはまくり」
「自然形」
[やぶちゃん注:明らかに前の「くしはまくり」の各剥き身個体の大きさより、生体は二倍は大きいだろう。]
■「ほしはまくり」
「自然形」
[やぶちゃん注:これは、相当に大きな成貝である。ハマグリ類は一年目で殻長二センチメートル、二年目で倍の二センチメートル、5年目で五~六センチメートルである。通常の寿命は七~八年が限界だが、環境が良ければ、最大、八~十センチメートル程度まで成長する。
「ほしはまくり」「乾し蛤」。先と同様、軽いボイルは必須である。]
■「仝《どう》」
「小《しやう》ノ方《はう》」
「自然形」
[やぶちゃん注:「仝」は「同」の異体字。]
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