河原田盛美著「淸國輸出日本水產圖說」正規表現版・オリジナル電子化注 中卷(八)乾貝並貝柱の說(その13) 鳥貝
[やぶちゃん注:底本・凡例その他は、第一始動の記事、及び、「(一)鰑の說(その2)」の前注の太字部分を参照されたい。今回はここの左ページから。]
鳥貝《とりかひ》
鳥貝(とりかひ)は、他物(たぶつ)と其(その)乾製法を異(こと)にす。先づ、手にて、殼中(からちう)の肉を、捻(ひね)り取り、刀割(たうかつ)して、腸(はらはた[やぶちゃん注:ママ。「はらわた」でよい。誤記か誤植。])を去り、煑て、簀上(すのうへ)に並べ、日乾(ひほし)して、莚囊(かます)に收(おさ[やぶちゃん注:ママ。])め、貯藏す。肉に、黑色(こくしよく)のものあり、此色なきは、味を損ずるのみならず、腐敗し易きを以て、最も之に注意すべし。之を豫防(よばう)するには、少しなりとも、沸騰の湯(ゆ)、濁(にご)るを認(みと)めるときは、速(すみやか)に、之を廢棄し、更に淸淨なる沸湯(ふつたう)に換(かへ)るを要(よう[やぶちゃん注:ママ。「えう」が正しい。])す。如斯(かく[やぶちゃん注:二字へのルビ。])すれば、黑色を傷(いため)ることなく、保存、久しきを保ち、味(あじわい[やぶちゃん注:ママ。])を變ぜず。淸國貿易に適せり。
[やぶちゃん注:「鳥貝」これは、
斧足綱マルスダレガイ目ザルガイ科トリガイFulvia mutica
である。当該ウィキに拠れば(注記記号はカットした)、『名の由来は、食用とする足が鳥のくちばしのような形状をしていることから、また』、『食味が鶏肉に似ているからともいう』。『北海道を除く日本(青森県陸奥湾から九州)、朝鮮半島、中国沿岸に分布する。水深数mから数十mの内湾の泥地に生息し、日本では東京湾、三河湾、伊勢湾、瀬戸内海等が主な漁場である。陸奥湾が北限とされてきたが、2005年には函館市の七重浜に大量に打ち上げられているのが発見され、流れ着いたものか』、『函館湾で育ったものか』、『話題を呼んだ。また2006年には石狩市で』、『多数』、『見つかっている』。『雌雄同体で、春と秋の二回』、『産卵期がある。多くは』、『寿命が約一年で』、『プランクトンを餌として殻長7-9cmほどとなるが、2-3年生き残るものもあり、10cm以上に成長する。膨らんだ黄褐色の貝の表面には』、『放射状に40本程の溝(放射肋)があり、短い殻毛に覆われている。足は長く、普段は』、『貝殻の中に折りたたまれているが、ヒトデなどに襲われそうになると』、『この足でジャンプして逃げることも有るという』。『時として大発生を起こしたり、逆に大量死滅したりするため』、『豊凶の差が激しいが、総じて』、『高級食材として高価で取引きされる』。『足、別名オハグロともいわれる部分を食用とする。開いて』、『二等辺三角形状にしたものを湯通しし、寿司種、刺身、酢の物、酢味噌和えなどにする。貝としては』、『噛み切り易い適度な歯ざわりと』、『ほのかな甘みがあり』、『美味。市場では』、『一般に湯通しまでの下ごしらえをしたものがパックされて流通している。厚みがあり、色の黒いものが』、『良品として高値が付く。旬は太平洋側では春先、日本海側では』、『夏となる。冷凍しても』、『あまり食味が変わらないので、ほぼ通年』、『出回る』。『漁の盛んな地域では』、『ヒモも食べられ、店頭に並ぶことも有る。千葉県では』、『小ぶりのものの殻を』、『開かずに』、『丸ごと』、『醤油と砂糖で煮付け、あとから』、『殻と肝を取り除いて』、『佃煮にする。変わったところでは』、『炙ったり、塩コショウでソテー、バター焼きといった食べ方も有る』。『寿司ネタとしては、冷凍されたものが』、『韓国・中国から大量に輸入されている』。『構成成分は』、『多い順に、水分78.6%、タンパク質12.9%、炭水化物6.9%、灰分1.3%、脂質0.3%で、高たんぱく低脂肪のヘルシー食材である。ビタミンB1が0.16mgと他の貝類よりは』、『やや多く含まれている他、カルシウム、鉄分、カリウム、亜鉛も豊富である。肝機能の強化、動脈硬化の予防に効果が有るともいわれる』。『京都府では』、『全国に先駆け、トリガイの養殖に取り組んできた。舞鶴湾や若狭湾は』、『もともとトリガイの好漁場であったが、京都府立海洋センターが、稚貝を人工孵化させ、アンスラサイトという底質を敷いたコンテナに』、『有る程度』、『育った稚貝を入れて』、『海中に吊り下げるという方法を開発した。こうして天敵のタコやヒトデから守られて育てられたトリガイは』、『天然物より大きく育ち、安定した供給が可能となった。京都で育成された養殖トリガイは「丹後とり貝」という地域ブランド名を与えられ、高級食材として出荷されている。現在では、石川県の七尾湾でも養殖に成功している』とあった。私の記事では、先ずは、画像のある『毛利梅園「梅園介譜」 蛤蚌類 鳥貝 / トリガイ』が良かろう。また、「大和本草卷之十四 水蟲 介類 鳥貝」をシメとしよう。⋯⋯同種やアワビ類の生キモを猫が食うと耳が落ちる話を知らない人のために、ね⋯⋯♪ふふふ♪⋯⋯]
« 河原田盛美著「淸國輸出日本水產圖說」正規表現版・オリジナル電子化注 中卷(八)乾貝並貝柱の說(その12) 乾蠣 | トップページ | 私の泉鏡花の随筆「幼い頃の記憶」のロケーション考証に就いて »

