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2026/09/01

河原田盛美著「淸國輸出日本水產圖說」正規表現版・オリジナル電子化注 下卷(九)乾魚並に䀋魚の說(その15) 乾火魚

[やぶちゃん注:底本・凡例その他は、第一始動の記事、及び、「(一)鰑の說(その2)」の前注の太字部分を参照されたい。今回はここから。]

 

   乾火魚《ほしかながしら》

火魚(かながしら)は「本朝食鑑」に『鐵頭魚(かながしら)』とす。處々(しよしよ)、多くあり。世俗(せぞく)、子(こ)を誕(たん)するの家(いへ)、必ず、此魚を以て、賀膳(かぜん)に供するの舊例(きうれい)あり。鮮食(なまぐひ)、炙食(あぶりぐひ)、煑食(にぐひ)し、䀋燒(しほやき)を、此(こヽ)に珍(ちん)とす。淡乾(しらほし)、鹹乾(しほほし)、共(とも)に、味(あじわ[やぶちゃん注:ママ。])ひ、淡白にして、美(び)なり。近年、淸國に輸出すること、屢々(しばしば)、あり。

[やぶちゃん注:これは、私が、嘗つて、七尾市百海で釣り上げ、その美しさに魅了された魴鮄=条鰭綱ペルカ目 Perciformesホウボウ科ホウボウ属ホウボウ Chelidonichthys spinosus に、似た形状で知られる、

ホウボウ科カナガシラ(金頭)属カナガシラ Lepidotrigla microptera

である。但し、BISMaLで見ると、同属で、カナガシラ以外に、

ソコカナガシラ(底金頭) Lepidotrigla abyssalis

イゴダカホデリ(伊吾高火照) Lepidotrigla alata

カナド(金戸) Lepidotrigla guentheri

ヒメソコカナガシラ(恐らくは「姫底金頭」) Lepidotrigla hime

トゲカナガシラ(棘金頭) Lepidotrigla japonica

ヒレナガカナガシラ(鰭長金頭) Lepidotrigla kanagashira

オニカナガシラ(鬼金頭) Lepidotrigla kishinouyei

ツラナガソコカナガシラ(恐らくは「面長底金頭」) Lepidotrigla longifaciata

ヒレホシカナガシラ(鰭長金頭) Lepidotrigla punctipectoralis

の九種がいるので、こ十種をリストしておく。漢字表記は、を除いて「ぼうずコンニャクの市場魚類図鑑」を参考にした。

ウィキの「カナガシラ」を引く(注記記号はカットした)。漢字表記は他に『方頭魚』・『六角魚』・『火魚』を挙げてある。『北海道南部以南から黄海、東シナ海、南シナ海まで分布し、水深50-300mほどの砂泥底に生息する』。『成魚の全長は30cmほどで、ホウボウより小さい。背面は一様に橙色 - 赤褐色をしているが、腹面は白色をしている』。『「カナガシラ」の和名は、頭部が大きく、形が金槌に似ていることに由来する。頭の骨が固いことに由来するとも言う。この硬い頭部を義憤に駆られて癇癪を起こした』、かの、江戸後期の儒学者にして、元大坂町奉行組与力で、「大塩平八郎の乱」を起こした義人である彼が『が、バリバリと噛み砕いて』、『骨ごと食べて』、『呆れられたことが、当時の記録に残されている。鼻先が前方にとがっていて、小さなとげが左右に数本ずつかたまって生え、その下に大きな口が開く。胴体はザラザラした細かい鱗に覆われる(ホウボウのウロコよりは大きい)』。『胸びれはホウボウよりも小さく、色も赤一色である。胸びれの一番下の鰭条3対はホウボウ同様、味を感知できる感覚器官があり、これを脚のように動かして海底を歩く』。『他のひれの構造もホウボウに似ているが、第1背びれに鮮紅色の大きな斑点があるのが特徴で、これは他のカナガシラ属( Lepidotrigla 属)の魚にも共通する特徴である。この斑点は液浸標本にすると黒くな』ってしまう。『食性は肉食性で、エビ、カニ、小魚、貝などを大きな口で捕食する』。『旬は冬で、底引き網で多く漁獲される。体の大きさのわりに身は少ないが、旨みと歯ごたえがある美味な白身魚で、料理法も煮付け、唐揚げ、塩焼き、鍋料理、干物など多種多様である。小さなものは蒲鉾など』、『魚肉練り製品の原料にも用いられる』。『この魚を縁起物にしている地域もある。長崎県では、丈夫な歯が生え』、『骨が丈夫になるように、お箸初の膳にカナガシラの焼きものを乗せる習慣がある。また、カナガシラという名が「お金が貯まる」に通じるとされ、節分にカナガシラを食べる風習がある』。別名は『キミヨ(秋田県)、キントウ(宮城県。金頭の音読)、カナ(関東地方)、カナド(関東地方、四国地方)、シシッポ(石川県)、カナンド(兵庫県)、カナゴ(愛知県)、ガッツ(長崎県)、ギダユウガタリ(鹿児島県)など』多い。『ホウボウと特に区別せず扱う地域もある』。既に示した通り、同属には他に九種があり、『種類によって』、『胸びれの模様や体のまだら模様、鼻先のとげなどに違いがある。カナガシラと同様、底引き網で多く漁獲され食用になる』。以下、カナド Lepidotrigla guentheri・トゲカナガシラ Lepidotrigla japonica のチョイスされた短い解説が載るが、それは、「ぼうずコンニャクの市場魚類図鑑」の「カラガシラ」以下、八種(左に「カナガシラ属」のリンク・リストがある)の記載の方が、写真もあり、詳しいので、各種の項を見られたい。

『「本朝食鑑」に『鐵頭魚(かながしら)』とす。處々(しよしよ)、多くあり。世俗(せぞく)、子(こ)を誕(たん)するの家(いへ)、必ず、此魚を以て、賀膳(かぜん)に供するの舊例(きうれい)あり。』今まで通り、河原田氏は以上の後の三分の二を、恰(あたか)も自身の言説のように書いている。本当に不快なやり口である。国立国会図書館デジタルコレクションの元禄一〇 (一六九七)年板の当該部(ここの左丁最終行のみで表題部一行だけで、本文は次のコマの左丁六行が続く)をリンクさせておくので、お読みあれ。]

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