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カテゴリー「北原白秋」の364件の記事

2022/12/02

萩原朔太郞 一九一三、四 習作集第八卷 ひかげおとこ

萩原朔太郞 一九一三、四 習作集第八卷 ひかげおとこ

[やぶちゃん注:電子化注の意図及び底本の解題と私の解説は初回のこちらを参照されたい。

 底本は以上の昭和五二(一九七七)年五月筑摩書房刊「萩原朔太郞全集」第二卷を用いるが、電子化では、下段に配されある誤字などを編者が修正していない原ノートの表記形を元とした。

 当初は、既に決定稿の注で私が電子化したものは、単純に飛ばして電子化しようと思ったが、読者に対して「習作集」の内容を順列で確認出来る便宜を図るため、既注のそれを標題とともにリンクを貼ることに敢えてした。

 直前の『萩原朔太郞 一九一三、四 習作集第八卷 寫真に添へて 歌集「空いろの花」の序に」』の後の、本篇より前の詩篇は、以下の通り、電子化注済みである。

「女よ」→『萩原朔太郎詩集「純情小曲集」正規表現版 女よ』の私の注

「五月」→『萩原朔太郎詩集「純情小曲集」正規表現版 旅上』の同前

「こゝろ」→『萩原朔太郎詩集「純情小曲集」正規表現版 こころ』の同前

「みちゆき」→『萩原朔太郎詩集 純情小曲集 正規表現版 始動 / 「珍らしいものをかくしてゐる人への序文」(室生犀星の序)・自序・「出版に際して」(萩原朔太郎)・目次・愛憐詩篇「夜汽車」』の冒頭詩篇「夜汽車」の私の注

「さくら」→『萩原朔太郎詩集「純情小曲集」正規表現版 櫻』の私の注

「△」(無題)→『萩原朔太郎詩集「純情小曲集」正規表現版 金魚』の同前]

 

 

 ひかげおとこ

 

日かげ男の悲しさに

ひろき我が家もなにかせん

のらりくらりと緣ばたに

煙草を吸へど春の日は

しづこゝろなく暮もせず

日かげ男のためいきに

ちうまんえんだの花が咲く

 

日かげ男も夜となれば

人にかくれて茶屋あそび

女欲しさに來は來つれ

日かげものとて へこおびに

靑い淚がちりやちり

              (一九一三、四、)

 

[やぶちゃん注:「おとこ」「ちうまんえんだ」はママ。

「ちうまんえんだ」は「ちゆうまえんだ」が正しい。萩原朔太郎が親しかった北原白秋の実家にあった菜園の名称である。私の『北原白秋 抒情小曲集 おもひで (初版原拠版) (献辞)・自序「わが生ひたち」・挿絵その他目次』の序にも出、その詩集の「北原白秋 抒情小曲集 おもひで (初版原拠版) 黑い小猫」にも出る。後者では、詩篇の後に自註して、『ちゆうまえんだ。わが家の菜園の名なり。』(太字は原詩集(私のその底本である「国文学研究資料館」公式サイト内の「電子資料館 近代文献情報データベース ポータル近代書誌・近代画像データベース」のこちらで高知市民図書館「近森文庫」蔵の初版本のここでは傍点「﹅」。以下同じ)とある。前者を見ると、白秋は『ちゆうまえんだの菜園を一周回(めぐり)して貧しい六騎(ロクキユ)の厨裏(くりやうら)に濁つた澱みをつくるのであつた。そのちゆうまえんだはもと古い僧院の跡だといふ深い竹藪であつたのを、私の七八歲のころ、父が他から買ひ求めて、竹藪を拓き野菜をつくり、柑子を植ゑ、西洋草花を培養した。それでもなほ晝は赤い鬼百合の咲く畑に夜(よる)は幽靈の生(なま)じろい火が燃えた。』と述べている。語源は不詳である。]

2020/11/23

北原白秋「邪宗門」正規表現一括PDFルビ附版公開

久々に「心朽窩新館」に、公開した(4.21MB)。詩篇は一篇ごとに改ページした贅沢な作りとし、ネットに繋いだ状態であれば、リンクも総てが機能する。お楽しみあれかし。

北原白秋 邪宗門 正規表現版 失くしつる・目次・(装幀・引用・彫版等氏名)・奥附 / 北原白秋 邪宗門 正規表現版~了 

 

   失くしつる

 

失(な)くしつる。

さはあるべくもおもはれね。

またある日には、

探(さが)しなば、なほあるごともおもはるる。

色靑き眞珠(しんじゆ)のたまよ。

四十一年七月

 

 

 

[やぶちゃん注:以下、「目次」であるが、ページ数とリーダは必要性がないので省略した。「国文学研究資料館電子資料館」の「近代文献情報データベース」の「ポータル近代書誌・近代画像データベース」の原本(実物)画像を見て戴きたいが、各詩篇標題は原本では有意な字下げが行われている。それに見かけ上は合うようにしたつもりである。但し、詩篇標題の均等割付は無視した。]

 

邪宗門目次

      魔   睡

    邪宗門秘曲

    室内庭園

    陰影の瞳

    赤き僧正

    WHISKY

    天鵝絨のにほひ

    濃霧

    赤き花の魔睡

    麥の香

    曇日

    秋の瞳

    空に真赤な

    秋のをはり

    十月の顔

    接吻の時

    濁江の空

    魔國のたそがれ

    蜜の室

    酒と煙草に

    鈴の音

    夢の奥

    窓

    昨日と今日と

    わかき日

      朱の伴奏

    謀叛

    こほろぎ

    序樂

    納曾利

    ほのかにひとつ

    耽溺

    といき

    黑船

    地平

    ふえのね

    下枝のゆらぎ

    雨の日ぐらし

    狂人の音樂

    風のあと

    月の出

      外光と印象

    冷めがたの印象

    赤子

    暮春

    噴水の印象

    顏の印象

     A 精舍

     B 狂へる街

     C 醋の甕

     D 沈丁花

     E 不調子

     F 赤き恐怖

    盲ひし沼

    靑き光

    樅のふたもと

    夕日のにほひ

    浴室

    入日の壁

    狂へる椿

    吊橋のにほひ

    硝子切るひと

    悪の窻

      一 狂念

      二 疲れ

      三 薄暮の負傷

      四 象のにほひ

      五 惡のそびら

      六 薄暮の印象

      七 うめき

    蟻

    華のかげ

    幽閉

    鉛の室

    眞晝

      天草雅歌

    天草雅歌

    角を吹け

    ほのかなる蠟の火に

    艫を拔けよ

    汝にささぐ

    ただ秘めよ

    さならずば

    嗅煙艸

    鵠

    日ごとに

    黃金向日葵

    一炷

      靑 き 花

    靑き花

    君

    桑名

    朝

    紅玉

    海邊の墓

    渚の薔薇

    紐

    晝

    夕

    羅曼底の瞳

      古  酒

    戀慕ながし

    煙草

    舗石

    驟雨前

    解纜

    日ざかり

    軟風

    大寺

    ひらめき

    立秋

    玻璃罎

    微笑

    砂道

    凋落

    晩秋

    あかき木の實

    かへりみ

    なわすれぐさ

    わかき日の夢

    よひやみ

    一瞥

    旅情

    柑子

    内陣

    懶き島

    灰色の壁

    失くしつる

 

 

邪宗門目次

 

 

裝愼…………………………………………………石井柏亭

  「エツキスリプリス」及「幼兒磔殺」………………………石井柏亭

插畫『澆季』……………………………………………石井柏亭

插畫『眞晝』……………………………………………山本 鼎

私信『四十一年七月廿一日便』………………………太田正雄

插畫『硝子吹く家』……………………………………石井柏亭

 扉繪及欄畫十葉………………………………………石井柏亭

彫版…………………………………………………山本 鼎

 

[やぶちゃん注:字のポイントが変えてある。なるべく似たような感じになるようにはした。「国文学研究資料館電子資料館」の「近代文献情報データベース」の「ポータル近代書誌・近代画像データベース」の原本(実物)画像の以上のページをリンクさせておく。なお、リンク画像の左下にある「一三」とは、先の「目次」に始まるページの通し番号である(右ページは白紙でノンブル表示がないが、十二ページ目として数えてはいる)。

「裝愼」はママ。「裝幀」の誤植。リーダ数はブラウザでの不具合を考えて再現していない。例えば、最初の「裝愼」の後には実際には六十六のリーダが打たれており、下部(本電子化では右端部分)が綺麗に揃っている。技術上、それをやると微妙に実物と異なってしまうので、右インデントを施していない。

 以下、奥附。上記のリンク先で示すので、字配・ポイントなどは無視して電子化する。]

 

明治四十二年三月 十日印刷

明治四十二年三月十五日發行

 

邪宗門奥附

 定価壹圓

 

不許複製

 

 著者  北原白秋

   東京麹町區飯田町六町目廿四番地

 發行者 西本波太

   東京小石川區久堅町百八番地

 印刷者 山田英二

   東京小石川區久堅町百八番地

 印刷所 博文館印刷所

   東京麹町區飯田町六町目廿四番地

發行所  易風社

          振替一二〇三四番

 

北原白秋 邪宗門 正規表現版 灰色の壁

 

   灰色の壁

 

灰色(はひいろ)の暗(くら)き壁、見るはただ

恐ろしき一面(いちめん)の壁の色(いろ)。

臘月(らふげつ)の十九日(じふくにち)、

丑滿(うしみつ)の夜(よ)の館(やかた)。

龕(みづし)めく唐銅(からかね)の櫃(ひつ)の上(うへ)、

燭(しよく)靑うまじろがずひとつ照(て)る。

時にわれ、朦朧(もうろう)と黑衣(こくえ)して

天鵝絨(びろうど)のもの鈍(にぶ)き床(ゆか)に立ち、

ひたと身は鐵(てつ)の屑(くず)

磁石(じしやく)にか吸はれよる。

足はいま釘(くぎ)つけに痺(しび)れ、かの

黃泉(よみ)の扉(と)はまのあたり額(ぬか)を壓(お)す。

 

灰色(はひいろ)の暗(くら)き壁、見るはただ

恐ろしき一面(いちめん)の壁の色(いろ)。

暗澹(あんたん)と燐(りん)の火し

奈落(ならく)へか虛(うつろ)する。

表面(うはべ)ただ古地圖(ふるちづ)に似て煤(すす)け、

縱橫(たてよこ)にかず知れず走る罅(ひび)

靑やかに火光(あかり)吸ひ、じめじめと

陰濕(いんしつ)の汗(あせ)うるみ冷(ひ)ゆる時、

鐵(てつ)の氣(き)はうしろより

さかしまに髮を梳(す)く。

はと竦(すく)む節々(ふしふし)の凍(こほ)る音(おと)。

生きたるは黑漆(こくしつ)の瞳のみ。

 

灰色(はひいろ)の暗(くら)き壁、見るはただ

恐ろしき一面(いちめん)の壁の色(いろ)。

熟視(みつ)む、いま、あるかなき

一點(いつてん)の血の雫(しづく)。

朱(しゆ)の鈍(にば)み星のごと潤味(うるみ)帶(お)び

光る。聞く、この暗き壁ぶかに

くれなゐの皷(つづみ)うつ心(しん)の臟(ざう)

刻々(こくこく)にあきらかに熱(ほて)り來(く)れ。

血けぶり。刹那(せつな)ほと

かすかなる人の息(いき)。

みるがまに罅(ひび)はみなつやつやと

金髮(きんぱつ)の千筋(ちすぢ)なし、さと亂(みだ)る。

 

灰色の暗き壁、見るはただ

恐ろしき一面(いちめん)の壁の色。

なほ熟視(みつ)む。……髣髴(はうふつ)と

浮びいづ、女の頰(ほ)

大理石(なめいし)のごと腐(くさ)れ、仰向(あふの)くや

鼻(はな)冷(ひ)えてほの笑(わら)ふちひさき齒

しらしらと薄玻璃(うすはり)の音(ね)を立つる。

眼(め)をひらく。絕望(ぜつまう)のくるしみに

手はかたく十字(じふじ)拱(く)み、

みだらなる媚(こび)の色

きとばかり。燭(しよく)の火の靑み射(さ)し、

銀色(ぎんいろ)の夜(よ)の絹衣(すずし)ひるがへる。

 

灰色(はひいろ)の暗(くら)き壁、見るはただ

恐(おそ)ろしき一面(いちめん)の壁(かべ)の色(いろ)。

『彼。』とわが憎惡心(ぞうをしん)

むらむらとうちふるふ。

一齊(いつせい)に冷血(れいけつ)のわななきは

釘(くぎ)つけの身を逆(さか)にゑぐり刺(さ)す。

ぎくと手は音(おと)刻(きざ)み、節(ふし)ごとに

機械(からくり)のごと動(うご)く。いま怪(あや)し、

おぼえあるくらがりに

落ちちれる埴(はに)と鏝(こて)。

と取るや、ひとつ當(あ)て、左(ひだり)より

額(ぬか)をまづひしひしと塗(ぬ)りつぶす。

 

灰色(はひいろ)の暗き壁、見るはただ

恐ろしき一面(いちめん)の壁の色。

朱(しゆ)のごとき怨念(をんねん)は

燃(も)え、われを凍(こほ)らしむ。

刹那(せつな)、かの驕(おご)りたる眼鼻(めはな)ども

胸かけて、生(なま)ぬるき埴(はに)の色

ひと息に鏝(こて)の手に葬(はうむ)られ

生(い)きながら苦(くる)しむか、ひくひくと

うち皺む壁の罅(ひび)、

今、暗き他界(たかい)より

凄きまで面(おも)變(かは)り、人と世を

呪(のろ)ふにか、すすりなき、うめきごゑ。

 

灰色(はひいろ)の暗(くら)き壁、見るはただ

恐ろしき一面(いちめん)の壁の色。

惡業(あくごふ)の終(をは)りたる

時に、ふとわれの手は

物握(にぎ)るかたちして見出(みいだ)さる。

ながむれば埴(はに)あらず、鏝(こて)もなし。

ただ暗き壁の面(おも)冷々(ひえびえ)と、

うは濕(しめ)り、一點(いつてん)の血ぞ光る。

前(さき)の世の戀か、なほ

骨髓(こつずゐ)に沁みわたる

この怨恨(うらみ)、この呪咀(のろひ)、まざまざと

人ひとり幻影(まぼろし)に殺したる。

 

灰色(はひいろ)の暗(くら)き壁、見るはただ

恐ろしき一面(いちめん)の壁の色(いろ)。

臘月(らふげつ)の十九日(じふくにち)、

丑滿(うしみつ)の夜(よ)の館(やかた)。

龕(みづし)めく唐銅(からかね)の櫃(ひつ)の上(うへ)

燭(しよく)靑(あを)うまじろがずひとつ照る。

時になほ、朦朧(もうろう)と黑衣(こくえ)して

天鵝絨(びろうど)のものにぶき床(ゆか)に立ち、

わなわなと壁熟視(みつ)め、

ひとり、また戰慄(せんりつ)す。

掌(て)ひらけば汗(あせ)はあな生(なま)なまと

さながらに人間(にんげん)の血のにほひ。

三十九年十二月

 

[やぶちゃん注:「屑(くず)」のルビはママ。

「臘月(らふげつ)」陰暦十二月の異称。中国で、冬至(陰暦十一月中)の後の第三の戌(いぬ)の日に、猟の獲物の獣肉を供えて先祖百神を祀る祭りを行ったことによる。現行ではその旧年と新年を「繋ぎ合わせる月」の原義と説明されることが多い。]

北原白秋 邪宗門 正規表現版 懶き島

 

   懶 き 島

 

明けぬれどものうし。温(ぬる)き土(つち)の香を

軟風(なよかぜ)ゆたにただ懈(たゆ)く搖(ゆ)り吹くなべに、

あかがねの淫(たはれ)の夢ゆのろのろと

寢恍(ねほ)れて醒(さ)むるさざめ言(ごと)、起(た)つもものうし。

 

眺むれどものうし、のぼる日のかげも、

大海原(おほうなばら)の空燃(も)えて、今日(けふ)も緩(ゆる)ゆる

縱(たて)にのみ湧(わ)くなる雲の火のはしら

重(おも)げに色もかはらねば見るもものうし。

 

行きぬれどものうし、波ののたくりも、

懈(たゆ)たき砂もわが惱(なやみ)ものうければぞ、

信天翁(あはうどり)もそろもそろの吐息(といき)して

終日(ひねもす)うたふ挽歌(もがりうた)きくもものうし。

 

寢(ね)そべれどものうし、圓(まろ)に屯(たむろ)して

正覺坊(しやうがくばう)の痴(しれ)ごこち、日を嗅(か)ぎながら

女らとなすこともなきたはれごと、

かくて抱けど、飽(あ)きぬれば吸ふもものうし。

 

貪(むさぼ)れどものうし、椰子(やし)の實(み)の酒も、

あか裸(はだか)なる身の倦(た)るさ、酌(く)めども、あはれ、

懶怠(をこたり)の心の欲(よく)のものうげさ。

遠雷(とほいかづち)のとどろきも晝はものうし。

 

暮れぬれどものうし、甘き髮の香(か)も、

益(えう)なし、あるは木を擦(す)りて火ともすわざも。

空腹(ひだるげ)の心は暗(くら)きあなぐらに

蝮(はみ)のうねりのにほひなし、入れどものうし。

 

ああ、なべてものうし、夜(よる)はくらやみの

濁れる空に、熟(う)みつはり落つる實のごと

流星(すばるぼし)血を引き消ゆるなやましさ。

一人(ひとり)ならねど、とろにとろ、寢(ね)れどものうし。

四十年十二月

 

[やぶちゃん注:「正覺坊(しやうがくばう)」「大酒呑み」を言う隠語。カメ目ウミガメ科アオウミガメ亜科アオウミガメ属アオウミガメ Chelonia mydas の異名でもあり、俗に「靑海龜」は、酒が好きで、与えると、多いに飲むことから出るなどと言われるが、元は酒好きの破戒僧を揶揄する語から転じたもののように思われる。

「益(えう)」この読みは当て字。「益」には「エキ・ヤク」しかない。類似語意を持つ「要」の字音の歴史的仮名遣「エウ」を当てたものであろう。

「流星(すばるぼし)」小学館「日本国語大辞典」は「すばるぼし」に昴(すばる)、則ち、プレアデス星団と同義として、まさに本詩篇のこの詩句を使用例として引いているが、この用例指示は誤りである。「濁れる空に」「血を引き消ゆるなやましさ」を持つ「流星」であるからには、これは固定した星群ではなく、流れ星であることは明白である。「すばる」は「集まって一つになる」の意の「統ばる」の意で、「星団」の意として腑に落ちるが、白秋はその派生語である「統べる」(多くの物を一つに纏める)の「すべる」を「滑・辷(すべ)る」の意に恣意的に転訛して使用したものと私は採る。プレアデス星団を貫く流星などという牽強付会(空は濁っているのだ)には私は、到底、組み出来ない。

2020/11/22

北原白秋 邪宗門 正規表現版 内陣

 

   内   陣

 

  ほのかなる香爐(かうろ)のくゆり、

  日のにほひ、燈明(みあかし)のかげ、――

 

文月(ふづき)のゆふべ、蒸し薰(くゆ)る三十三間堂(さんじふさんげんだう)の奧(おく)

空色(そらいろ)しづむ内陣(ないぢん)の闇ほのぐらき靜寂(せいじやく)に、

千一體(せんいつたい)の觀世音(くわんぜおん)かさなり立たす香(か)の古(ふる)び

いと蕭(しめ)やかに後背(こうはい)のにぶき列(つらね)ぞ白(しら)みたる。

 

  いづちとも、いつとも知らに、

  かすかなる素足(すあし)のしめり。

 

  そと軋(きし)むゆめのゆかいた

  なよらかに、はた、うすらかに。

 

  ほのめくは髮のなよびか、

  衣(きぬ)の香(か)か、えこそわかたね。

 

  女子(をみなご)の片頰(かたほ)のしらみ

  忍びかの息(いき)の香(か)ぞする。

 

  舞ごろも近づくなべに、

  うつらかにあかる薄闇(うすやみ)。

 

  初戀の燃(も)ゆるためいき、

  帶の色、身内(みうち)のほてり。

 

だらりの姿(すがた)おぼろかになまめき薰(く)ゆる舞姬(まひひめ)の

ほのかに今(いま)したたずめば、本尊佛(ほんぞんぶつ)のうすあかり

靜(しづ)かなること水のごと沈(しづ)みて匂ふ香(か)のそらに、

仰(あふ)ぐともなき目見(まみ)のゆめ、やはらに淚さそふ時(とき)。

 

  甍(いらか)より鴿(はと)か立ちけむ、

  はたはたとゆくりなき音(ね)に。

 

  ふとゆれぬ、長(たけ)の振袖(ふりそで)

  かろき緋(ひ)のひるがへりにぞ、

 

  ほのかなる香爐(かうろ)のくゆり、

  日のにほひ、燈明(みあかし)のかげ、――

 

  もろもろの光はもつれ、

  あな、しばし、闇にちらぼふ。

四十年七月

 

北原白秋 邪宗門 正規表現版 柑子

 

   柑   子

 

蕭(しめ)やかにこの日も暮(く)れぬ、北國(きたぐに)の古き旅籠屋(はたごや)。

物(もの)焙(あ)ぶる爐(ゐろり)のほとり頸(うなじ)垂れ愁(うれ)ひしづめば

漂浪(さすらひ)の暗(くら)き山川(やまかは)そこはかと。――さあれ、密(ひそ)かに

物ゆかし、わかき匂(にほひ)のいづこにか濡れてすずろぐ。

 

女(め)あるじは柴(しば)折り燻(くす)べ、自在鍵(じざいかぎ)低(ひく)くすべらし、

鍋かけぬ。赤ら顏して旅(たび)語る商人(あきうど)ふたり。

傍(かたへ)より、笑(ゑ)みて靜かに籠(かたみ)なる木の實撰(え)りつつ、

家(いへ)の子は卓(しよく)にならべぬ。そのなかに柑子(かうじ)の匂(にほひ)。

 

ああ、柑子(かうじ)、黃金(こがね)の熱味(ほてり)嗅(か)ぎつつも思ひぞいづる。

晚秋(おそあき)の空ゆく黃雲(きぐも)、畑(はた)のいろ、見る眼(め)のどかに

夕凪(ゆふなぎ)の沖に帆あぐる蜜柑(みかん)ぶね、暮れて入る汽笛(ふえ)。

温かき南の島の幼子(をさなご)が夢のかずかず。

 

また思ふ、柑子(かうじ)の店(たな)の愛想(あいそ)よき肥滿(こえ)たる主婦(あるじ)、

あるはまた顏もかなしき亭主(つれあひ)の流(なが)す新内(しんない)、

暮(く)れゆけば紅(あか)き夜(よ)の灯(ひ)に蒸(む)し薰(く)ゆる物の香(か)のなか、

夕餉時(ゆふげどき)、街(まち)に入り來(く)る旅人がわかき步みを。

 

さては、われ、岡の木(こ)かげに夢心地(ゆめここち)、在(あ)りし靜けさ

忍ばれぬ。目籠(めがたみ)擁(かか)へ、黃金(こがね)摘(つ)み、袖もちらほら

鳥のごと歌ひさまよふ君ききて泣きにし日をも。――

ああ、耳に鈴(すず)の淸(すず)しき、鳴りひびく沈默(しじま)の聲音(いろね)。

 

柴(しば)はまた音(おと)して爆(は)ぜぬ、燃(も)えあがる炎(ほのほ)のわかさ。

ふと見れば、鍋の湯けぶり照り白らむ薰(かをり)のなかに、

箸とりて笑(ゑ)らぐ赤ら頰(ほ)、夕餉(ゆふげ)盛(も)る主婦(あるじ)、家の子、

皆、古き喜劇(きげき)のなかの姿(すがた)なり。淚ながるる。

三十九年五月

 

[やぶちゃん注:「籠(かたみ)」「筐(かたみ)」「堅間(かたま)」「勝間(かつま)」などと表記・呼称し、目を細かく編んだ竹籠(たけかご)を言う。後の「目籠(めがたみ)」も目の粗い竹籠のこと。

「卓(しよく)」「ショク」は「卓」の唐音。本来は仏前に置いて香華を供える机で茶の湯にも用いるが、ここは無論、普通の食卓の意。

「新内(しんない)」新内節(しんないぶし)。浄瑠璃の流派の一つ。延享二(一七四五)年に宮古路加賀太夫が豊後節から脱退し、富士松薩摩(ふじまつさつま)を名のったのが遠祖で、この富士松節から出た鶴賀若狭掾(つるがわかさのじょう)が鶴賀節を立て、幕府御家人であった初代鶴賀新内(延享四(一七四七)年~文化七(一八一〇)年を継いだ二世鶴賀新内が文化年間(一八〇四年~一八一八年)に人気を博して以来、新内節と呼ぶようになった。早くから劇場を離れ、座敷浄瑠璃として発展、花街などの門付芸「新内流し」て発展して行った。哀調のある節にのせて哀しい女性の人生を歌いあげて、遊里の女たちに大いに受け、隆盛を極めた。ここはその夫婦の「流し」の情景。二人一組で、二挺の三味線を弾き合わせながら街頭を歩き、客の求めに応じて新内節を語って聞かせた。]

2020/11/21

北原白秋 邪宗門 正規表現版 旅情

 

 旅   情

       ――さすらへるミラノひとのうた。 

零落(れいらく)の宿泊(やどり)はやすし。

海ちかき下層(した)の小部屋(こべや)は、

ものとなき鹹(しほ)の汚(よ)ごれに、

煤(すす)けつつ匂(にほ)ふ壁紙(かべがみ)。

廣重(ひろしげ)の名をも思(おもひ)出づ。

 

ほどちかき庖厨(くリや)のほてり、

繪草子(ゑざうし)の匂(にほひ)にまじり

物(もの)あぶる騷(さや)ぎこもごも、

燒酎(せうちう)のするどき吐息(といき)

針(はり)のごと肌(はだ)刺(さ)す夕(ゆふべ)。

 

ながむれば葉柳(はやなぎ)つづき、

色硝子(いろがらす)濡(ぬ)るる巷(こうぢ)を、

橫濱(はま)の子が智慧(ちゑ)のはやさよ、

支那料理(しなれうり)、よひの灯影(ほかげ)に

みだらうたあはれに歌(うた)ふ。

 

ややありて月はのぼりぬ、

淸らなる出窓(でまど)のしたを

からころと軋(きし)む櫓(ろ)の音(おと)。

鐵格子(てつかうし)ひしとすがりて

黃金髮(こがねがみ)わかきをおもふ。

 

數(かず)おほき罪に古(ふ)りぬる

初戀(はつこひ)のうらはかなさは

かかる夜(よ)の黑(くろ)き波間(なみま)を

舟(ふな)かせぎ、わたりさすらふ

わかうどが歌(うた)にこそきけ。

 

色(いろ)ふかき、ミラノのそらは

日本(ひのもと)のそれと似(に)たれど、

ここにして摘(つ)むによしなき

素馨(ジエルソミノ)、海のあなたに

接吻(くちつけ)のかなしきもあり。

 

國を去り、昨(きそ)にわかれて

逃(のが)れ來し身にはあれども、

なほ遠く君をしぬべば、

ほうほう……と笛はうるみて、

いづらへか、黑船(くろふね)きゆる。

 

廊下(らうか)ゆく重き足音(あしおと)。

みかへれば暗(くら)きひと間(ま)に

殘(のこ)る火は血のごと赤く、

腐(くさ)れたる林檎(りんご)のにほひ、

そことなく淚をさそふ。

三十九年九月

 

[やぶちゃん注:「素馨(ジエルソミノ)」イタリア語「gelsomino」(ジェルソミーノ)で、ジャスミン(英語:jasmine)、シソ目モクセイ科 Jasmineae 連ソケイ属 Jasminum(タイプ種はソケイ Jasminum officinale)の香料を採るジャスミンの総称。ソケイ属は世界で約三百種がある。これは思うに、森鷗外のアンデルセンの翻訳「卽興詩人」(イタリアを舞台とした恋物語。明治二十五年から三十四年(一八九二年~一九〇一年)の約十をかけてドイツ語版から重訳して断続的に雑誌『しがらみ草紙』などに発表、初刊版「即興詩人」は明治三五(一九〇二)年に春陽堂から刊行された)の中の「花祭」のパートで、カンツォーネを歌うシーンの歌詞の訳中に(岩波文庫版を持っているはずなのだが、見当たらぬので、国立国会図書館デジタルコレクションの大正三(一九一四)春陽堂刊の画像(ここ)を視認した)、

   *

„―Ah rossi, rossi flori,

Un mazzo di violi!

Un gelsomin d'amore―”

あはれ、赤き、赤き花よ。

堇(すみれ)の束(たば)よ。

戀のしるしの素馨(そけい)〔ジエルソミノ〕の花よ。)

この時あやしく咳枯しはがれたる聲にて、歌ひつぐ人あり。

„―Per dar al mio bene!”

(摘みて取らせむその人に。)

   *

とあるのをインスパイアしたものと推測する。]

2020/11/19

北原白秋 邪宗門 正規表現版 一瞥

 

 一   瞥

 

大月(たいげつ)は赤くのぼれり。

あら、靑む最愛(さいあい)びとよ。

へだてなき戀の怨言(かごと)は

見るが間(ま)に朽ちてくだけぬ。

こは人か、

何らの色(いろ)ぞ、

凋落(てうらく)の鵠(くぐひ)か、鷭(ばん)か。

後(しりへ)より、

冷笑(れいせう)す、あはれ、一瞥(いちべつ)。

我(われ)、こころ君を殺(ころ)しき。

三十九年七月

 

[やぶちゃん注:最終行は私は「こころ」の後に読点を打つか、字空けを施したいくはなる。

「鵠(くぐひ)」白鳥の古名。カモ目カモ科Anserinae 亜科に属する広義のハクチョウ類を指す。同亜科はハクチョウ属Cygnus・カモハクチョウ属 Coscoroba の二属に分かれ、ハクチョウ属にコブハクチョウCygnus olor・コクチョウCygnus atratus(和名の通り、ハクチョウ属であるが、成長するにつれて黒くなる)・クロエリハクチョウCygnus melancoryphus・オオハクチョウCygnus cygnus・ナキハクチョウCygnus buccinator・コハクチョウCygnus columbianus が、カモハクチョウ属にカモハクチョウ Coscoroba coscoroba がいるが、本来、古来から本邦に自然に飛来して来る種はオオハクチョウ Cygnus Cygnus とコハクチョウ Cygnus columbianus の二種のみであった。博物誌は私の「和漢三才圖會第四十一 水禽類 天鳶(はくちやう)〔ハクチョウ〕」を見られたい。

「鷭(ばん)」ツル目クイナ科 Gallinula属バン Gallinula chloropus。成鳥は黒い羽毛に蔽われるが、背中の羽毛は多少、緑色を帯びる。上記最後のそれからは、成鳥の場合はバンと二種を見間違えることはあり得ないが、オオハクチョウもコハクチョウも幼鳥は灰色を帯びるから、実際のそれらを遠目で見たならば(ここは実際の鳥ではないのだが)、バンと識別出来ない可能性はないとは言えない。博物誌は私の『和漢三才圖會第四十一 水禽類 鷭 (バン) 附 志賀直哉「鷭」梗概』を見られたい。]

北原白秋 邪宗門 正規表現版 よひやみ

 

 よひやみ

 

うらわかきうたびとのきみ、

よひやみのうれひきみにも

ほの沁むや、靑みやつれて

木のもとに、みればをみなも。

な怨みそ。われはもくせい、

ほのかなる花のさだめに、

目見(まみ)しらみ、うすらなやめば

あまき香(か)もつゆにしめりぬ。

さあれ、きみ、こひのうれひは

よひのくち、それもひととき、

かなしみてあらばありなむ、

われもまた。――月はのぼれり。

三十九年四月

 

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