第一版新迷怪国語辞典 大分(おおいた)
大分(おおいた)
我々が「小学校卒業までに日本の四十七都道府県の名前と位置を身につけることが大切である」という「学習指導要領の目標」によって、何の疑念もなく「おおいた」と訓じている日本国の県名及び同県中央部の県庁所在地の地名及び市名。旧豊前(ぶぜんの)国の一部と旧豊後(ぶんごの)国に相当する。しかし「分」の音は「ブン・フン・ブ」、訓は「わける・わかれる・[国訓]わかる(認識するの意)」であって、「いた」という読みは存在しない。それを一切かっとばして「おおいた」と読むことを不思議に殆んどの日本人が無批判に「おおいた」という難読を受容している不思議な地名である。ウィキの「大分」の「名称」によれば、『現在の大分県の名は、古来国府が置かれていた大分郡(おおきたのこほり)に由来する。「おおいた」という読みは、「おおきた」が転訛したものである』。『さらに、大分郡の名の由来については、『豊後国風土記』によると、景行天皇がこの地を訪れた際に「広大なる哉、この郡は。よろしく碩田国(おおきたのくに)と名づくべし」と感嘆して名づけ、これが後に「大分」と書かれたとされている。しかし、大分平野は広大とは言えないため、実際には、狭くて入り組んだ地形に多くの田が造られている様子を形容した「多き田」が転じて「大分」になったとするのが最近の定説である』とあり、「おおいた」の語源である「おおきた」自体の意味は必ずしも自明とは言えない点でやはり我々が何の気なしに「おおいた」と読んでいるそれは、謎を秘めた地名であることに変わりはないのであるが、しかも日常に於いてそれを気に止める日本人は頗る少ないという、摩訶不思議な地名である。