ブログ・アクセス2,060,000突破記念 只野真葛 むかしばなし (122) 「むかしばなし」後書+工藤氏系譜・桑原氏系譜 / 「むかしばなし」電子化注~完遂!
[やぶちゃん注:本最終電子化は、三日前の十二月二十七日に、二〇〇六年五月十八日のニフティのブログ・アクセス解析開始以来(このブログ「Blog鬼火~日々の迷走」開始自体はその前年の二〇〇五年七月六日)、本ブログが2,060,000アクセスを突破した記念として公開する。【二〇二三年十二月二十九日 藪野直史】]
書二昔話後一
昔話六卷、藩醫工藤周庵之女眞葛所二筆記一也。系譜附二于後一、以示下讀二於此記一者上耳。周庵及眞葛之筆記數部、存二于其家一云云。
乙卯春書省齋南窓下 佐々城直知
[やぶちゃん注:以上は、底本では全体が三字下げ。最後の署名は、底本では三字上げ下インデント。推定で訓読しておく。
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「昔話」の後(あと)に書す
「昔話」六卷、藩醫工藤周庵の女(むすめ)眞葛、筆記する所なり。系譜、後(あと)に附き、以つて此の記を讀む者に示すのみ。周庵、及び、眞葛の筆記、數部、其の家に存(そん)すと云云(うんぬん)。
乙卯春書省齋南窓下 佐々城直知
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「乙卯」安政二(一八五五)年。因みに、真葛は文政八年六月二十六日(一八二五年八月十日)に没している。享年六十三であった。
「佐々城直知」佐々城朴安(ささきぼくあん 天明五(一七八五)年~文久元(一八六一)年)は医師。陸奥桃生郡(現宮城県)出身。直知は本名。通称は他に「朴庵」がある。「省齋」は号。京都で婦人科学を学んだ。文化一一(一八一四)年、陸奥仙台藩の医員となり、「医学館」の付属薬園長・婦人科教授に就任した。天保四(一八三三)年には、「救荒略」を著し、飢饉の際に食用となる草木二百三種を紹介している。他の著作に「救民単方」などがある。
以下の系譜は、例式で罫線でずっと繋がっているが、ブラウザでは加工が困難であるから、略記号に代えた。各人の表記はポイントが大きく、その事績本文は二行割注であるが、【 】で、本文(訓点は下・上附きは再現した)ポイント落ちとし、ブラウザの不具合を考え、長いものは適宜改行した。特に難しくもないので、訓読・注は附さない。底本の『原傍註』とある箇所は[ ]で入れた。割注の最後には句読点がないが、句点を打った。]
工藤氏系譜略
○工藤丈庵【獅山樣御代被二召出一袖ケ崎邸へ御隱居後同邸定詰。】
┃
┗周庵【丈庵養子、實徹山樣御代還俗被二仰付一、號平助、出入司勤仕。】
┃
┣女子【藩士只野伊賀爲二後妻一、號二眞葛一、無ㇾ子、母桑原隆朝之
┃ 嫡女、眞葛卒歲。】
┣長庵【早世。】
┣女子【津輕侯之臣雨森權八郞妻。】
┣女子【田安樣へ奉仕、御姬樣松平越前守樣へ御入輿ニ付、御附御老女
┃ 相勤候所、御姬樣御卒去ニ付、其後爲ㇾ尼、號二瑞性院一、
┃ 天保六年卒。】
┃ 【右御姬樣、桑名少將定信松平越中守[初居城奧州白川。]、實ハ
┃ 田安中納言宗武卿御三男、依二臺命一爲二定邦侯養子一、隱居而
┃ 號二樂翁一。
┃ 桑名少將樂翁侯ノ御姪樣ニ付、樂翁樣へ時々罷出候ニ付、樂翁樣
┃ 御書數通持居候ニ付、乞受取而私方ニも數通持居申候。瑞性院手
┃ 跡もよく、觀音經認候を私も所持仕居申候。】
┣源四郞【平助家督、御近習相勤、眞葛只野伊賀方へ後妻ニ相成、
┃ 江戶ヨリ罷下候砌、同伴罷下候、文化年中病死。】
┣周庵【三代目之桑原隆朝二男、源四郞急病ニ付
爲二養子一、今安政二乙卯盲目ニテ年五十餘歲、
住二北三番丁木町通ヨリ東へ二軒目一。】
桑原氏系譜略
初代
○桑原隆朝【生國氏系不ㇾ知、忠山樣御代橘家ヲ爲二人元ト一
┃ 被二召出一。】
┃
┣女子【工藤平助妻。】
┃
┃二代目
┣隆朝【桂山樣御代御藥上相勤、妻谷田太郞左衞門娘也。
┃ 谷田氏其節公儀使ニテ定詰。】
┃
┃三代目
┣隆朝
┃
┃四代目
┣隆朝【當時御近習相勤、住二同心町玄貞坂行當リヨリ西ノ方南側。】
┃
┗周庵【工藤氏爲二養子一。】
工藤平助女子七人有ㇾ之、秋の七草ニたとへ名付候ニ付、只野伊賀妻私繼母ハ眞葛と申候。[外女子四人緣付候所承リ合候而追々可申上候。]右兩家之系譜御聞被ㇾ成度旨御問合ニ付、大略申上候。委敷義は昔話御參考被ㇾ成候得者、相知可堅甲候。以上
十一月廿日 眞山杢左衞門
[やぶちゃん注:以上の署名は、底本では三字上げ下インデント。]
佐々城朴安樣
尙々私儀は只野伊賀次男ニ而、眞山江養子ニ相成候ニ付、繼母之緣ニ而兩家之系統承リ居候處ヲ、匆々申上候。尙亦委く工藤桑原へ御聞被ㇾ成候方と奉ㇾ存候。以上
[やぶちゃん注:この只野真葛の「むかしばなし」の電子化は、二〇二一年二月二日に始動したが、途中、他の電子化注にかまけて、中断多く、結果、三年足らずかかってしまった。当初、底本のルビを( )で、私の推定歴史的仮名遣のルビを《 》にしていたものを、長くペンデイングしている中で、途中から逆転させてしまったミスも起こしてしまった。数少ない読者に御礼とともに、陳謝しておく。]